un deux droit

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平日の 家事何してんのと 問われれば

平日の家事に8時間かけてる女性って、一体何してんの?と呟いた人が炎上している件。

 

 

 

炎上している人については、まず単純に元記事読み間違えている部分があるので、(家事は約4時間、8時間なのは育児)ちゃんと読め、っていうツッコミを一応しつつ。

 

要するに彼が言いたいのは、時間がかかっているのは本人の効率が悪いっていう要素もあるので間に受けない方がいい、という話なんだろうと思う。

それを念頭に置いた上で反論する。

 

1.

まず元記事は夫と妻の家事育児にかけている負担の差を、時間という時間という単位に焼き直しているに過ぎない。純粋に量の話だ。同じ内容の家事を男女でヨーイドンでやったらこんなに差がありました、という話ではない。もちろん、質の差の可能性がゼロではない。でも殊更、質の問題をあげつらうことで、量の差の問題をうやむやにしようとする主張は詭弁である。

 

2.

1日のどの部分を切り取って家事が1時間だと言っているんだ?そのサトウのご飯は誰が買った?冷食は?洗剤を詰め替えたのは誰だ?家電のメンテナンスはしているか?在庫を確認した時間を計上したか?在庫の欠損分を補充したか?ネットで全部買っているとして、受け取って、仕分けして、しかるべきところに収納したのは誰だ?掃除機の溜まったゴミは捨てたか?子供の服とか弁当箱とかそういう小物を吟味し、購入したのは誰だ?考えるのにかかった時間も計上したか?その間子どもは何をしていたか?一切の邪魔もせず、文句も言わず、ニコニコと家事が終わるのを待っていてくれたか?妨害のあった時間があったとすれば何の時間とカウントした?彼こそ内訳を出すべきだ。彼の言葉を借用するならば使途不明時間は許されない。そして、その家事だけを1年やって家が維持できるのかを検証してもらいたいところだ。それで無理だというならば1時間で十分とは言えないはずだ。

 

3.

仮に彼の言う通り、家事が1日1時間で終わるということが真実だとしよう。でもそれは100m走10秒で走れるぜ、というアピールに過ぎない。もちろん100m10秒は素晴らしい記録だし、努力でどうにかなる問題でもなく、間接的にその人の有能さを証明することにもなるだろう。しかし家事と育児はマラソンなのだ。100m10秒のペースでマラソンを完走できないように、家事を1日1時間に無理やり詰め込んだら絶対どこかで息切れする。

 

最後に、これは個人の価値観の差があるから反論ではないが、妻と子供の満足度は果たしてどうなのだろうか。その内容は妻の期待する水準だったか。子どもが過ごせて心地良い3週間だったか。自画自賛は誰でもできる。だから本当は家族の評価で良し悪しを判断すべき。しかし家族はさまざまな利害関係をはらむから、本心は容易に打ち明けない。だから、こういう問題は安易にマウンティングせず、自分なんてまだまだ、と謙虚に振舞った方が誰にとっても良い。家族それぞれ事情は違う。金銭的な余裕も子供の特徴も夫婦の価値観も得手不得手も。環境や本人の才覚や運に恵まれているところがあれば素直に感謝し、その点をもって恵まれていない人を嘲笑するような浅ましい振舞いは立場のある人こそ気を付けてほしいものだ。

そして、男が女より家事をやってないという統計的事実はいくら理屈をこね回しても否定できない。自分がやるべき部分を余計にやってもらっている感覚があるなら、それを素直に認めて、感謝して、できるだけ分かち合おうと歩み寄る。男に求められているのは本当にただそれだけ。